「明らかに休み」なのに子どもを登園させる保護者に対して何を思うか?

今日は、「『明らかに休み』なのに子どもを登園させる保護者に対して何を思うか?」というタイトルでコラムを書きたいと思います。

夏もいよいよ後半になってきましたけど、お盆休み前後にはSNSで「お盆休みにも子どもを連れてくる保護者」に対しての保育者のツイートでだいぶ賑わっていましたね。

その内容は、「明らかに休み」だと分かる姿・格好・雰囲気で、保育園に子どもを預けてくる保護者がいることに対して、「自分の子どもなのに、仕事が休みの日も連れてくるってなんなん?!(怒)」といったものです。

さて、この問題、ちょいちょいネガティブ思考を発生させる問題ですよね。
なのに無くならないのはなぜでしょうか?

僕個人的には、保育士、保護者のどちらの気持ちも分かります。

「えっ!?じゃあ、仕事で休みだっていうのに、保育園に子どもを連れてくることを許していいって思っているの?!」って言われそうですけど、そうじゃありません。

僕も仕事が休みで家でゆっくりしたい時には、子どもたちを保育園に預けたいという、自然な気持ちを持つこともあったからです。

この問題は、いわゆるルールとして定められた決まりを守ろうね、という理論的な部分と、そういう状況なら仕方ないか、という感情面も考慮されたグレーな部分が存在するということを、どのように落とし込むかがポイントだと思っています。

保護者の思いとは?

この問題を細分化する上で、保護者の気持ちに寄り添ってみましょう。

保護者とて、仕事がない日に保育園に預けることはルールでいけないというのは基本わかっているはずです。

その上で、保育園にあの手この手を使って(時には嘘をついてでも)、子どもを預けることがあるというのは、なぜでしょうか?

それは、シンプルに言えば、「子育てがしんどいから助けて。(甘えさせて。の場合もある)」という状況なのではないでしょうか。

この、裏に隠された保護者の状況を汲み取れる(保育利用の可否は別として、知ろうとしているかの意味)か、ここに保育職の真髄が隠されているのではないかと僕は思っています。

保育士の思いとは?

一方で、現場の保育士の思いとはどのような思いでしょうか?

そりゃ、ルールはしっかり守ってもらう、なぜなら、保育とは「保育に欠ける」子どもを預かるのだから!
仕事でないのなら、我が子なのだから自分で面倒見るのが当然でしょう!
という思いではないでしょうか。

養成校や国家試験で保育士になるための勉強をするなかで、何度も何度も「保育に欠ける児童」を預かるのが「保育園」、そう学んできましたから、このように考えるのは、間違いではないですし、正論と言えるでしょう。

子ども・子育て支援(新)制度という制度ができ、一部の保育者は「子育て支援もしなくちゃいけなくなったから、仕事で休みの場合でもリフレッシュが目的なら子どもを預からなきゃいけない!」と思っているようですが、これは解釈が間違いです。
「一時保育」利用者の利用目的に「リフレッシュ」は入りますが、普通の保育を利用している人が「リフレッシュ」で保育を利用することはできません。
ですので、あくまで保育の必要性の事由(就労、保護者の疾病・障害、産前産後、同居親族の介護、災害復旧、求職活動・就学)に該当している必要があります。

その上で、いろいろな事情がありますので、最終的には「現場(各保育施設)の判断」としており、保育の必要性の事由に該当しない場合は、あくまで施設の「善意」の上に成り立っているのです。

どうしても(堂々と)リフレッシュがしたい人は、ちゃんとお金を払って利用できるところを探すのが筋です。

担任と保護者がぶつかるのは最悪の関係性になる

この両者の思いがある中で、やってはいけないことが、子どもを面倒を見ている担任の先生と保護者が、直接ぶつかることです。

想像するだけで険悪な状況になるのは分かりますよね。。

なので、多くの保育者は、直接ぶつかることは避け、受け入れたくもない状況を受け入れ、ただただ我慢しているか、「愚痴」という形でSNSでツイートして発散してるのが現実です。

しかし、時に、我慢の限界が来たからでしょうか、虫の居所が悪かったからでしょうか、直接担任が保護者に注意してしまうことがあります。これは一番悪いパターンです。

場合によっては、保護者が「逆ギレ」を起こしかねません。

「保育士は子どもを預かるのが仕事なんだから、黙って預かってろ。」とか、「こっちは保育料払ってるんだから、とやかく言われる筋合いはない」など、話がこじれてしまします。

話がこじれて最悪な関係性になった時に、一番可哀想なのは「子ども」です。大人に振り回され、最後に、「この子さえいなければ・・・」なんて思われてしまう。そんな話まで膨れ上がることは、あり得ないことではないのです。

「正論」ではなく、「正解」がどこにあるのか探そう

人は冷たくされた時のことはいつまでも覚えています。

逆に辛い時に優しくしてもらったことも覚えています。

そして、その思いに、いい意味でも悪い意味でも「応えよう」と思うものです。

「保育園に子どもを預けなくてはいけない理由」の根本原因に視点をあてて、その状況を「理解」した上で、丁寧な対応がこの問題の解決につながると思います。

この時に邪魔になるのが「正論」です。人と人との関わりにおいて、「正論」よりも大切なのが、「感情」です。

この世の中、ルールありきの正論だけで成り立ってはいるわけではありません。

特に、「人情」はどの分野においても大切で、ことに、子育てをしていく関わり合いの上では、保育者・保護者間でもそうですし、夫婦間でもそうですし、何よりも無視してはいけないものと言えます。

キーパーソンは担任ではなくリーダー職

この問題のキーパーソンは、担任ではなく、主任とか副園長・園長のようなリーダーの立場の人です。

まず、リーダーは現場の担任を「守る」責任があります。

上記のように、問答無用に土曜日もお盆もと、子どもを預けられたら、担任の先生は一杯一杯になってしまいます。

担任は目の前の子どもの保育に専念するために、仕事が休みであろう保護者に対しての接点はリーダーが対応し、良い方向づけをしていく必要があります。

段階的に、まずは「園のお知らせ」という形で、「登園のルール」を節目(年度毎など)にしっかりお伝えしていきます。

そして、現場が「困る」ほど利用頻度が目立つ世帯に対しては、リーダー職の先生が面談をして、家庭の状況をお聞きしましょう。

この時に、「注意」や跳ね除けるような姿勢ではなく、あくまで傾聴し、受容の姿勢が大切です。
保護者に心を開かせて、助けを必要としている根本原因を話してもらうことが大切です。

一度この面談を挟むと、人の心は不思議なもので、「あの保育園の先生は私のことを分かってくれている」と思い、「保育園の先生方も大変なのだから、仕事の日はちゃんと自分で面倒みよう」という気持ちになるのです。

「いやいや、そんな話にはならないよ!また絶対保育園に預けにくるって!」と思うかもしれません。

でも、そう考えて、保護者を信頼してないうちは、その心が保護者にも届いてしまいます。

心の底から、保護者を助けたい!子育ての伴走者でありたい!と思うのであれば、保護者を信じましょう。そこがスタートラインだと思います。

そして、その上で保育を受け入れざるおえない状況になったら、全力で担任の先生をフォローしましょう。
気持ち的にも、体制的にもです。
現場の先生が、気持ちよく保育できるよう、リーダーの先生の腕の見せ所と言えます。

現場の先生と一緒になって、保護者の愚痴を言ってたり、矢面に立つ覚悟がない姿勢では、厳しいことを言うようですが、不適切保育を招きかねないマネージメントと言わざるを得ません。

「全ては子どものため」で保護者とつながる

その上で、どのように保護者から理解を得ていくかについてですが、これは結論、「全ては子どものため」という姿勢で保護者に話をしていくことです。以下の切り口から話をしていくといいでしょう。

①家族との絆=子どもの安心感と自信を育む

子どもは休みの日には「家族と過ごすこと」が大切です。
なぜなら、家族との時間は子どもの心の成長に影響するからです。
家族との絆を深めることで、子どもは安心感や自信を得られます。
また、家族と一緒に遊んだり、話したり、学んだりすることで、子どもは社会性やコミュニケーション能力を養うことに繋がります。

②「好きなこと」をさせてあげられるのは家庭

保育園は「家庭的」と言われますが、どこまでいっても家庭とは別のその子にとっての「社会」です。
なかなか「好きなこと」をやりたくてもできないことがあるのが現実です。

しかし、家庭で自分の好きなことをすることで、子どもは楽しみや達成感を感じることができます。

また、自分の好きなことをすることで、子どもは自己表現や創造性を発揮する事ができ、幸福度は高まります。

③子どもだって疲れているから。休ませてあげよう。

上記でも書きましたが、保育園や幼稚園は「社会」です。
どんなに小さい時から過ごした家庭と同じような場所だといっても、気を張って過ごしています。

やっぱりリラックスできるのは家庭です。

大人と同じように、ずっと通うのは疲れてしまいます。

子どもは休みの日には十分に休むことが大切です。
十分に休むことで、子どもは体力や免疫力を回復します。
また、十分に休むことで、子どもは記憶や学習能力を向上させます。

まとめ

この問題において、救わなくてはならないのは、保育士も保護者も両者です。

どっちが正しいとか間違っているとかの正論で話を進めてはいけない問題です。

強いて言うなら、プロ中のプロであるリーダー職の先生方には、視座を高く持っていただき、誰もが幸せ(ウェルビーイング)になるよう解決できるようになっていただきたいと思っています。

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ぜひご興味ある方は資格講座を受けていただけたらと思います😊


今回のコラムはこれで以上となります。
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それではまた、次回のコラムでお会いしましょう!

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